デモンストレーションのようす
デモンストレーションのようす
[画像のクリックで拡大表示]

 パイオニアは,HDMIやDVIの信号だけでなくUSBやRS-232C,アナログ・オーディオ信号などをすべて多重化して1本の光ファイバで双方向伝送できる信号変換器を開発,「CEATEC JAPAN 2007」の会場で実演している。レコーダやパソコンなどから映像信号をタッチパネル機能付きのディスプレイに送って表示し,タッチパネルを操作されたときの信号(USB)をパソコン側に伝えるといった双方向伝送が披露されている。

 開発した信号変換器は,HDMI/DVI端子と光ファイバ用コネクタのほかにUSB端子やアナログ・オーディオ信号用端子,RS-232C端子などを備えている。光源は赤外レーザで,伝送に利用する光ファイバには通常のガラス製のものだという。

 オーディオ信号はA-D変換し,信号をすべてデジタル化した上で多重化して受信側に伝送する。これを実現するためのプロトコルを新たに開発した。なおUSBやRS-232Cといった双方向の信号伝送は,HDMI信号の送信に使っているのとは波長の異なる赤外レーザを用いることで行っているという。

 HDMIの信号伝送距離は,通常は最大10m前後といわれている。これを延伸したいというニーズは業務用途などを中心に既にあり,光ファイバや高速伝送対応のLANケーブルを使う信号変換器などが登場している。しかし,イベント会場などでディスプレイ機器と映像ソースの機器の距離が物理的に離れている場合,映像信号だけでなく,USBやRS-232Cといった制御用信号なども伝送しなければならないため,従来は配線が何本も交錯する状態になってしまっていた。

 今回の開発品では,こうした配線の問題が解決できる。実際,今回のCEATEC JAPANにおけるパイオニア・ブースでは,あちこちでこの伝送システムを利用し,劣化のない映像信号の伝送と容易な配線というメリットを享受できているという。

 実用時のことを考えた細かな配慮もされている。光ファイバ用のコネクタは一般に,挿入するとツメが引っかかるなどして容易には外れないような工夫が施されている。しかし今回のような用途の場合,ケーブルに足を引っ掛けたりした場合に「小さな信号変換器なので機器側が壊れてしまう」(説明担当者)。そこでわざと,引っ張られると外れるコネクタにしたのだという。

 発売時期など,具体的なことは決まっていないものの,日本国内では業務用,北米市場などではカスタム・インストーラと呼ばれるホームシアター・システムの設置業者などに向けた市場があると同社ではにらんでいる。

この記事を英語で読む

長さ300mの光ファイバ・ケーブル1本でHDMI信号の送信側と受信側を結んでいる
長さ300mの光ファイバ・ケーブル1本でHDMI信号の送信側と受信側を結んでいる
[画像のクリックで拡大表示]
今回開発した信号変換器
今回開発した信号変換器
[画像のクリックで拡大表示]